血液腫瘍内科

診療・各部門

血液疾患は他の内科疾患と比較すると発症頻度が少ないこともあり、血液腫瘍内科を標榜している病院が少ないため、認知されにくいのが現状です。ただ、高齢化に伴い血液疾患が増加傾向にあるのも事実です。当科では白血病、骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫、骨髄腫のような造血器悪性疾患と、溶血性貧血をはじめとする各種貧血、特発性血小板減少性紫斑病、再生不良性貧血など血液疾患全般の診療を行っています。

当院では他科の充実以外に外来化学療法室の設備も整っていることから、血液疾患の中でも特に造血器悪性疾患に対する化学療法、分子標的療法を入院・外来問わず積極的に行っています(移植適応例に関しては大阪公立大学医学部附属病院またその関連病院と連携し進めています)。白血病などの血液疾患は一昔前まで不治の病と言われていましたが、最近は新規薬剤含め化学療法の目覚ましい発展によって予後延長できる、あるいは治る病気になってきています。

当科の領域では重症患者さんも多く、高度な知識と経験を求められる診療が行われています。こうした治療の実践には幅広い医学知識と経験ばかりでなく、それらを統合することも必要です。そのため、医師だけはなく、看護師、薬剤師、臨床検査技師など他職種の医療スタッフがチームとしてトータルケアを実践し、地域医療に貢献できることを目指しております。少しでも血液疾患が疑わしい場合は気軽にご相談ください。

専門医教育施設認定

  • 日本血液学会認定専門研修教育施設

診療内容

血液腫瘍内科外来

当科では現在、火・水・金曜日の午前、月・木曜日の午後を中心に外来を行っております。ただ、血液疾患の中には急を要するケースもあるため、他の曜日でも可能な限り対応させていただきます。当科の検査で欠かせない骨髄検査も外来をメインに行っております(リンパ節生検は他科と連携して行います)。

外来化学療法・支持療法

当院3階に外来化学療法室があり、リクライニングベッド・チェアーを計10台完備、看護体制、モニター管理も充実しております。血液疾患によっては長時間を要する治療もあり、できるだけ患者さんに安全かつ負担がかからず受けていただけるよう心掛けております。支持療法である輸血も同じ場所で行っております。

入院での化学療法

当科では、原則的には化学療法の初回は入院していただき、治療効果並びに副作用のチェックを行います。特に問題がなければ、2回目以降は可能な限り外来で行っています。

無菌室のご案内

無菌室は、治療により白血球数が減少し、抵抗力が低下すると考えられる患者様に入って頂く病室です。通常の化学療法よりも強度な抗癌剤を使用すると、白血球が極度に減少します。この状態では、人や空気などを介して細菌、真菌(カビ類)、ウイルスなどに感染しやすくなります。また感染した場合、重症化することがありますので、感染症を予防することが非常に大切です。

現在、当院では2種類の病室があり、無菌室(個室)3部屋、準無菌室(多床室・4人部屋)2部屋を備えています。

無菌室内は、ダクトパネルから空気を吸い込み、HEPA付ファンフィルタユニットから細菌や真菌をろ過したきれいな空気が流れてきます。また、滅菌水装置も導入しており、手洗い時も滅菌水を使用します。無菌室(個室)には病室内に、シャワー・トイレがあります。

当院では、無菌室含め十分な治療環境を整えることで、白血病含め難治性造血器悪性疾患に対する治療も積極的に行っております。

当院での血液疾患(2020年度)

骨髄異形成症候群 36件
多発性骨髄腫 21件
特発性血小板減少性紫斑病 4件
再生不良性貧血 8件
急性骨髄性白血病 11件
急性前骨髄球性白血病 1件
慢性骨髄単球性白血病 3件
慢性リンパ性白血病 1件
骨髄線維症 3件
悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫) 95件
ホジキンリンパ腫 6件
成人T細胞性白血病リンパ腫 7件
汎血球減少症 2件
巨赤芽球性貧血 2件
好中球減少症 3件
自己免疫性溶血性貧血 1件

担当医

井上 敦司

部長

経歴

  • 平成19年関西医科大学卒業

資格

  • 癌緩和ケア研修 修了

和田 恵里

医長

経歴

  • 2005年(平成17年)大阪市立大学医学部卒業

資格

  • 日本専門医機構・日本内科学会認定内科専門医
  • 日本血液学会認定血液専門医
  • 日本化学療法学会認定抗菌化学療法認定医
  • 癌緩和ケア研修 修了

山下 梨奈

医師