クローン病(CD)について
― 病態理解から診療連携、治療・支援制度まで ―
はじめに:クローン病の概要と重要性
クローン病(Crohn's Disease:CD)は、消化管のあらゆる部位に慢性の炎症を引き起こす難治性疾患であり、特に若年成人に発症が多いことが特徴です。わが国の患者数は増加傾向にあり、食事環境の欧米化が一因ともいわれています。有名人では女優の山田まりやさんがCD疑いで精査を受けたと言われています。米国ではアイゼンハワー元大統領がCDであったとも言われています。
病態の現状理解:最新の知見と原因仮説
CDがどうやって起こるのか、完全には解明されていませんが、遺伝的素因、腸内細菌叢の異常、免疫応答の過剰、環境因子(喫煙など)が複雑に関与すると考えられています。炎症は消化管が全層性に起ります。消化管傷害は面で起こるのではなく非連続的に病変が発生することが特徴です。病気がこじれてくると腸管が狭窄して食物が通りづらくなることもあります。最近の知見では、腸管バリア機能の破綻や免疫調節の異常も注目されています。
自覚症状と臨床所見:主な症状と診断のポイント
主な自覚症状は、慢性的な下痢、腹痛、体重減少、微熱、全身倦怠感などです。肛門周囲病変(痔瘻や膿瘍)は特に重要なサインであり、若年者の難治性肛門疾患ではCDを疑う必要があります。身体所見では腹部圧痛や腫瘤触知、貧血徴候がみられることがあります。血液検査で炎症反応(CRP、白血球増多)、貧血、低アルブミン血症等が認められることが多く、便潜血の陽性も参考になります。診断の決め手は消化管内視鏡検査および生検による組織所見です。
専門医への紹介タイミング:紹介基準と注意点
以下の場合は、消化器専門医への早期紹介を推奨します。
- 2週間以上持続する原因不明の下痢・腹痛
- 体重減少や発熱、全身倦怠感を伴う場合
- 若年者の難治性肛門疾患(痔瘻・膿瘍)
- 血液検査で明らかな炎症反応や貧血が認められる場合
- 消化管出血や腸閉塞症状がみられる場合
紹介時には、経過、既往歴、服薬歴、検査データを添えて情報提供をお願いします。
治療内容:生物学的製剤・経口分子標的薬の概要
治療の基本は、炎症のコントロールと寛解維持です。従来のアミノサリチル酸製剤やステロイド、免疫調節薬に加え、近年は生物学的製剤(抗TNFα抗体、抗IL-12/23抗体など)や経口分子標的薬(JAK阻害薬等)が導入され、難治例や再燃例で有効性が認められています。これらの治療は副作用管理や感染症対策が重要なため、専門施設での導入・管理が原則です。病状が安定してからも、治療経過中の感染症徴候や副作用の早期発見、継続的な全身管理が求められます。腸の狭窄が酷くなれば食事摂取自体が困難となり病巣部を切除せざるを得なくなることもあります。治療が高額になる可能性もあるので次に述べる指定難病制度を利用した医療費助成を申請する方がよいでしょう。
指定難病制度:申請方法と患者支援
CDは「指定難病」に認定されており、医療費助成の対象となります。申請には、専門医による診断書や病状評価が必要です。医療費助成の対象が原則として指定難病と認定された1ヶ月前からとなりますので、患者支援の観点からも、早期に制度利用を案内し、必要書類の取得・手続き支援を行うことが望まれます。これについてはこのサイトでも項を改めて述べますが、各自治体の窓口にご相談ください。難病情報センターのウェブサイトも参考になると思います。