驚かないでください―医療物資不足に対する本院の対策―

日本が医療崩壊に向かって突き進んでいます。発熱のある救急患者が100軒以上もの医療施設から診察を断られ、やっと10時間後に受け入れてもらったというような報道もあります。

当院では「医療崩壊を抑止するための本院の姿勢について」を公表し、従来医療の供給を極力継続することを宣言いたしました。しかし当院でも例えば手術用ガウンなどの物資が不足し、各種疾患に対する手術などの従来医療の継続が危ぶまれる状況になっています。そして多くの医療機関が物資の不足を理由に従来医療から撤退しようとしています。しかし、医療物資の不足を理由に安易に従来医療から撤退するのは医療崩壊に手を貸す方向性です。

例えば手術用ガウンは何のために着るのか、そこまで立ち返ったうえで、手術用ガウンを着ずに安全に手術する方法はないのか、なにか他のものでガウンの代替をできないかなどを考え、手術用ガウンの供給が途絶えても手術治療を提供する方策を模索しなければなりません。手術用ガウンに限らず不足しつつある医療物資について、ありとあらゆる知恵と工夫により節約できるものは節約し省けるものは省き、従来医療を供給し続けることが本院の役割です。

手術室で割烹着や作務衣を着た外科医の執刀を受けても驚かないでください。滅菌など必要な処理はきちんとしてあります。
医療従事者の努力と一般の皆様方の忍耐と寛容さとでこの未曽有の危機を乗り越えていきましょう。

令和2年4月16日
病院長 細川 亙