二重まぶた
二重まぶたの構造
アイメイクで作る目は二重まぶたですか?
のりやテープ、ファイバーなどのアイプチやメザイクに代表される化粧品を使って二重まぶたにしているけど、毎朝、手間がかかり面倒だから手術を検討するという方々が年齢を問わず、診察にたくさん来られます。
皮膚を奥に押し込んで、のりの力で強制的にぱっちり二重にしたり、カチューシャで髪の毛を押さえるように、ファイバーを使ってまぶたを固定したり、まぶたにテープ(皮膚よりも硬い素材)を支えとして、目尻を中心にたるんだ皮膚をうまく折りたたむようにしています。
これらのアイメイクを使っていると、まばたき時や下方視の際にまぶたの皮膚が引きつれて非常に不自然に見えるのですが、使用している人に聞いてみると、ほとんどの方がクセや型がつけば二重まぶたになると信じて使用し、自分がまばたきをしている姿を自分自身で見る事がないので、まばたきって一瞬だから気づかれないのでは?と楽観的に考えている人も多く見かけます
そもそもクセや型が二重まぶたの仕組みであれば、頑張ればいつか二重に!という願いは叶うと思うのですが、二重まぶたって実はクセや型ではありません。もちろんそうした線が二重のように見える方もたくさんおられますが、それはあくまでもシワであって二重まぶたではありません。また、まばたきの回数は1日に約1万回ですから、不自然さが非常に目立つことはもちろん、シャツやセーターが伸びるように、まぶたの皮膚も伸びやすくなります。
二重まぶたは『つながり』
重瞼ライン(二重まぶたの線)の皮膚と連結する腱膜と言われる線維状の『つながり』があり、そのつながり部分が目を開くときに奥に引っ張られて『二重まぶた』になります。アイプチなどでは「くせ」をつくっているだけですから「しわ」を無理に作っているのと同じになります。
まぶたを開ける主な筋肉と二重の関係
二重まぶたを形成する際、『二重幅』を決定しますが、二重幅だけで目の形は決まりません。まぶたを開く力が強い人、弱い人、眼瞼下垂症と診断されるほど力が弱い人など、個人差があります。まぶたを開く力が弱いのに二重幅が広いと眠たい印象になってしまいます。
二重幅が広ければ目が大きく見える訳ではありません。二重まぶた(見た目)と関係する筋肉は主に3つ上眼瞼挙筋(じょうがんけんきょきん)とミュラー筋、前頭筋(ぜんとうきん)です。これらが二重まぶたと密接に関わっていますので少し説明していきます。
- 上眼瞼挙筋(じょうがんけんきょきん)
- 二重まぶたの仕組みや見た目に深く関わる筋肉です。まぶたを挙げる主要な筋肉で、この筋肉の先に腱膜という膜状の腱が伸びています。この腱膜は3層に分かれ、このうちの腱膜中間層が皮膚につながるように付着し、これが重瞼ライン(二重幅)となります。腱膜の深い層は、瞼板という瞼の軟骨に付着して目を開く役割を担います。目を開く力が弱いと目はぱっちり二重になりません。また、目を開く力がかなり弱く、視野障害を伴う場合、眼瞼下垂症と言いますが、この筋肉が弱かったり、瞼板との付着部分が緩んでいたりします。
※浅い層はLTL(下位横走靭帯)で折り返し、眼窩隔膜になります。
- ミュラー筋
- 腱膜の裏で、上眼瞼挙筋と瞼板の間に存在する筋肉です。下眼瞼にも存在し、交感神経優位(興奮状態)で目を上下に見開くとき、収縮しているのはミュラー筋の収縮によるのです。眼瞼下垂症になるとミュラー筋が代償性に頑張って目を開けようとするので交感神経優位(興奮状態)が続き、肩こりや疲れ目などの原因になる事があります。
- 前頭筋(ぜんとうきん)
- 眉毛を持ち上げると前額にしわができますが、この筋肉を前頭筋といいます。前頭筋が収縮して眉毛を挙上させると二重幅は広くなりますが、皮膚も上に引っ張られるので二重の溝は浅くなります。びっくりしたような目になっていたり、目の上がくぼんでいる場合、前額に深いしわがないか確認してみてください。本来は眉毛挙上せずに、まぶたを挙げないといけませんから、前額にしわがあるということは実は上眼瞼挙筋の機能が弱かったり、たるんだ皮膚が(眉毛挙上しない状態では)目に覆いかぶさっている可能性が高いです。
一重まぶたの構造から二重まぶた形成術を理解しましょう
一重まぶたとは
- 挙筋腱膜と皮膚のつながりがない人のまぶた
- 挙筋腱膜と皮膚のつながりが弱い人のまぶた
- まつ毛の生え際近くに実は1?2mm程度の重瞼ライン(二重まぶた)がある人のまぶた
です。よって、二重まぶた形成術(埋没・切開)とは、一重まぶたの方には、(1)つながりが無い、(2)弱い、(3)元の二重幅が狭すぎるので、(埋没重瞼術では)糸がつながりの代用になって、(切開重瞼術では)傷(癒着)がつながりの代用になって、かつ、5?6mmよりも広い幅で皮膚とつながりを作ってあげる手術ということになります。